「にぎわい空間研究所」は、リアル空間にしかできない新しいビジネス価値の在り方を研究します

にぎわい空間創出FORUM2019<br />
イントロダクション<br />
「胎動する空間ビジネスのテック化と“ディスプレイテックの未来”」<br />
Event Report

にぎわい空間創出FORUM2019
イントロダクション
「胎動する空間ビジネスのテック化と“ディスプレイテックの未来”」


講演者
中郡 伸一
にぎわい空間研究所所長

2020.01.30facebook

編著:にぎわい空間研究所編集委員会
 
江戸庶民のトレンドタウン、深川から
未来に向けた空間ビジネスのあり方を発信

 みなさん、こんばんは。にぎわい空間研究所の中郡伸一です。本日はたくさんのご来場を賜り、ありがとうございます。
 

 今回のフォーラムは、江戸庶民のトレンドタウン、深川で開催することといたしました。階下の資料館では、江戸市民のライフスタイルを支えた最先端のまちづくりの様子が展示されています。当時の空間クリエイトスピリットに負けないように、未来に向けた空間ビジネスのあり方をご来場のみなさまとともに、ここ深川から発信していきたいと思います。
 にぎわい空間創出フォーラムは、今回で3回目の開催となります。前回のフォーラムでは、「空間革命」と題して、革命的空間ビジネスの数々を徹底解剖し、新たな空間ビジネスの台頭をご来場のみなさまと検証しました。
 今回のタイトルは、「空間革命2」としました。テーマは「テック化がもたらす空間ビジネスの未来」です。
 
 
人々のライフスタイルを革新的に一変した
ICTを駆使したデジタルプラットフォーマー
 
 テック化とは、単にインターネットやITツールを利用するだけのビジネスモデルではなく、ICT主導によるデジタルイノベーションによって、既存の産業に最新のテクノロジーを活用したソリューションを組み合わせて、新しい価値の仕組みを提供する動きのことです。
 
 
 テック化によって、斬新なビジネスモデルが続々と登場しています。
 買い物は自宅にいながらAmazonで調達、不要品はmercariに出品し、仕事場はその日のロケーションに合わせて WeWorkで選び、帰宅後はNetflixで好きなときに好きな映像を見る。食事はUber Eatsで宅配。旅先ではAirbnbで個人宅をシェアする。
 ICTを駆使したデジタルプラットフォーマーによって、人々のライフスタイルは革新的に一変しました。
 
 
 新たな価値を創出して、人々の生活をより良い方向に変化させる概念は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ばれています。
 DXは18世紀の産業革命、1990年代の情報通信革命に続く、「第三の革命」と言われています。いわゆる「デジタルイノベーションの時代」が到来したのです。
 

テック化(X-Tech)の潮流が
あらゆる産業で始まっている
 
 DX、デジタルトランスフォーメーションの時代への突入を象徴する動きが産業のテック化です。産業×テクノロジー、X-Tech(クロステック、エックステック)と言われています。
 
 
 テック化の潮流はあらゆる産業で始まっています。金融のテック化が「フィンテック(FinTech)」、小売のテック化は「リテールテック(RetailTech)、食のテック化が「フードテック(FoodTech)」、農業のテック化が「アグリテック(AgriTech)、健康のテック化は「ヘルステック(HealthTech)、そして教育のテック化が「エドテック(EduTech)です。
 一番ポピュラーなのが、フィンテックでしょうか。Finance×テクノロジー。AIによるビッグデータを活用するIT技術と従来銀行が扱っていた金融サービスを組み合わせた金融のテック化です。
 
 
 急速に普及するバーコード決済・送金などのキャッシュレス技術。ブロックチェーンのテクノロジーでネットワークを管理するビットコインなどの仮想通貨。不動産開発プロジェクトへ参加したいユーザーをインターネット上で募集し、資金を集めるクラウドファンディング、などが挙げられます。
 
 
 こちらが国内のフィンテック企業のカオスマップです。
 金融に関わる様々なプレイヤーたちが、ここに参画しています。カオスマップとは、業界にどのような領域とプレイヤーが存在しているかを一覧できる業界地図のことです。業界を可視化することによって、協業関係づくりのベースが作られます。参画企業が持つ技術や特性データを組み合わせて新たな製品やサービスなどの価値を生み出すことができるのです。
 もう一つご紹介するのが、エドテックです。Education×Technology。教育や学習の環境をテクノロジーによって進化させる教育のテック化です。
 
 
 クラウド学習システムによるオンライン学習システムでは、データの蓄積・開示による教育レベルの平準化が行われています。インターネットと通信制教育制度を活用したオンラインスクールでは、場所や時間にとらわれない多様な学習システム、新しい学校の形態が生まれています。遠隔地授業システムでは、電子黒板やタブレットへの書き込みが連動して、教育格差の是正や生涯学習を推進しています。
 
 
 これがエドテック企業のカオスマップです。
 オンラインスクールのN高校では、すでに1万1,000人の生徒が全国で通学しているそうです。
 

従来の商習慣に変革を与える
不動産テックのキーパーソンが登壇
 
 にぎわい空間研究所が注目しているのが、不動産業×ICT、不動産テックです。一般社団法人不動産テック協会を設立して、業界のテック化にいち早く取り組んでいます。
 
 
 不動産売買、賃貸、投資の新たな仕組みを構築するとともに、従来の商習慣に変革を与える取り組みを行っています。テック化による不動産業界の革命は、私たちリアル空間産業のテック化にどのようなヒントを与えてくれるのでしょうか?
 
 
 本日は「不動産テック革命の最新トレンド研究」として、不動産テック協会代表理事、赤木正幸氏にご登壇いただきます。
 さらに、不動産テックの先進的なふたつの事業の責任者にもご登壇いただきます。 飲食店の新たな起業スタイル「間借り飲食店」のマッチングサイトを運営するのが「軒先レストラン」です。
 
 
 軒先レストランは、株式会社吉野家ホールディングスと、前回のフォーラムにご登壇いただいた軒先株式会社によって共同運営されています。本日は吉野家ホールディングスの武重準氏にご登壇いただきます。
 もう一つは、スマホひとつで手続きが完了できる賃貸住宅界のプラットフォーマー、「OYO LIFE」です。 OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN 株式会社の種良典氏にも、ご登壇いただきます。
 
 
すぐそこに迫っている
“ディスプレイテック”の波
 
 空間ビジネスのテック化「ディスプレイテック」には、どんな可能性があるのでしょうか?
 にぎわい空間研究所ではディスカッションを行い、ディスプレイテックの可能性についてのアイデアを挙げてみました。


ディスプレイテックによるテック化の可能性
 
 まず、図面のテック化です。「全自動3D図面化ソフト」「VR図面」「ホログラム図面」などが考えられます。
 マイクロソフトの「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」は、MR(複合現実デバイス)を使用したホログラムによる3Dコンピューティングワーキングシステムをすでに開発しています。
 デザインのテック化では、話した言葉を検索して、3Dホログラムを生成する「スピーキング・イメージ・モデリング」。AIデザイナーの誕生も、そう遠い未来の話ではないかもしれません。
 また、積算のテック化では自動積算アプリ、マテリアル検知・選定アプリ。イベントのテック化では、来場者と出展者を効率的にマッチングさせる「AIマッチングシステム」「AIイベントディレクター」。商業施設のテック化では「出店効果解析」。施工のテック化ではロボット職人やウェアラブル作業などが考えられます。
 テック化が進行する条件は、ビッグデータ解析、AI、クラウド、モバイル、ソーシャルといったデジタルイノベーションの基盤整備と事業プレイヤーの集積が必須になります。
 
 
 ディスプレイテックのカオスマップ登場の波が、すぐそこまで来ているように感じます。テック化がもたらす空間ビジネスの未来をみなさまとともに考えてまいりましょう。
 それでは、早速、研究セッションを始めさせていただきます。みなさま最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
 

記事中の情報、数値、データは調査時点のものです。
 
 
 

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