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「肉フェス」「餃子フェス」 (フードイベント)/AATJ
総 説
Report_Case09

「肉フェス」「餃子フェス」 (フードイベント)/AATJ

SNS情報拡散による巨大集客力
〜話題を呼ぶイベントづくり〜

2016.12.16facebook

 若年層を中心に消費意欲が減退している今、優れた商品やサービスだからといって売れる時代ではない。重要なのは商品企画や事業立案の段階から、いかに話題づくりや情報拡散の仕掛けを組み込んでいくかにある。本稿では、年間に100万人以上も集客する食のモンスターイベント「肉フェス」を主催するAATJ(株)の事例研究を通じて今日的な集客のセオリーを検証していきたい。
 ヒット商品づくりの鉄則は、ブームの兆しを見極めながら、顧客の心の半歩先を行くことである。AATJでは、世界での和牛ブーム、TPPなどによる肉への注目、熟成肉や塊肉など従来とは異なる肉料理ブームの兆しがあったことに着目した。そして肉料理に特化したフードイベントがなかったことから、日本の有力肉料理店を集めた「肉フェス」を企画。平成26(2014)年5月に第1回を東京の駒沢オリンピック公園で開催した。
 第1回の肉フェスは4日間で29万人を動員。その後も全国の主要都市を中心に肉フェスを開催し、平成28(2016)年11月までに延べ28イベントで約420万人を動員してきた。アイドルのステージなど、肉フェスには従来のフードイベントにない要素がふんだんに盛り込まれているが、この巨大集客を成し得た最大の注目ポイントはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した情報拡散の仕組みづくりである。
 かつてイベントの集客セオリーといえばテレビ、ラジオ、雑誌、新聞のマスコミ4媒体での情報発信が主流だったが、今はインターネットに置き換わっており、なかでもSNSが圧倒的な影響力を持つ。SNSは口コミメディアであり、情報の受け手のパーソナルな心に刺さると驚異的な情報拡散力を生み出す。SNSでの拡散のポイントは、斬新性やかっこよさ、美味しさなど、他人に伝えたくなる分かりやすい魅力があることだ。肉フェスのSNS情報拡散力では主に次の4つのポイントが挙げられる。
① ネーミング
「飲めるハンバーグ」「肉の爆弾 肉巻餃子」「旨すぎる!! 牛タンネギ焼き!!」など、料理を想像することができ、シズル感にあふれるネーミング。
② フォトジェニック
ジューシーな肉汁やこんがりとした焼き色、また圧倒的なボリューム感など、スマホで撮ってSNSで拡散したくなるような見た目であること。
③ 仲間とのシェア
肉フェスの会場ではグループが多い。みんなで手分けして複数の肉料理を購入し、分けあって食べ、美味しさと楽しさが共感できる場を提供すること。
④コラボレーション
ステージに出演するアイドルやアーティストが自身のSNSで肉フェスへの出演を告知し情報を拡散。さらに、映画、アニメ、LINEなどとコラボレーションしながら、肉フェスというブランドを広めてきたこと。

 
 AATJでは、平成28(2016)年10月12日〜16日に、東京都中野区で「餃子フェス」を開催し、5日間で8万人を動員した。餃子フェスという新たなテーマで成功を収めたことからも、AATJの情報拡散を前提としたイベントの集客セオリーは確かなものであると言えるだろう。
 集客が難しい時代だからこそ、商品やイベントには話題性が必須である。事業立案から商品発売やイベント開催に至るまで、常にプロモーション、とりわけSNSによる情報拡散を基軸に置きながらプロセスを踏んでいく必要がある。しかしその実行は難しい。AATJのフードフェスはその重要性と実行メソッドを教えてくれるのである。
 
 

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