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「第31回オリンピック競技大会2016  リオデジャネイロ」<br />
(スポーツイベント)【後編】
総 説
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「第31回オリンピック競技大会2016 リオデジャネイロ」
(スポーツイベント)【後編】

リオ五輪を踏まえ、東京五輪が目指すべきもの
観光立国とグローバル国家に進化する起爆剤へ

2016.10.31facebook

 平成28(2016)年8月5日から21日まで「第31回オリンピック競技大会 2016/リオデジャネイロ(以下、リオ五輪)」が開催された。次のオリンピックは、平成32(2020)年の「第32回オリンピック競技大会 2020/東京(以下、2020東京五輪)」である。日本は閉塞する経済状況を打破し、その先の未来を創造するために、2020東京五輪を戦略的な起爆剤として活用しなければならない。私が提案する戦略の方向性は「観光立国への成長」「グローバル国家への進化」である。
 リオ五輪は南米大陸で開催される初めてのオリンピックだった。開催国のブラジルはいわゆる新興国である。昭和39(1964)年の東京オリンピック、そして平成20(2008)年の北京オリンピックがそうであったように、リオ五輪はブラジルにとって国威発揚の機会であり、社会インフラを整備するための起爆剤だった。事実、今回の五輪開催に合わせてBRT(Bus Rapid Transit/バス高速輸送システム)や地下鉄などの交通機関も整備され、リオデジャネイロ市における社会インフラは近代化に拍車がかかった。
 リオ五輪では、軍や市警察を動員して会場周辺を封鎖するなど徹底したセキュリティの確保が行われた。結果として、懸念されていたテロなどは起きず、無事、閉幕した。新興国、ブラジルが限られた予算のなかで仮設の施設などを多用するなどの知恵を絞り、国家としての資源を総動員して、オリンピックをやり遂げたことは高く評価された。
 一方、開催を4年後に控えた2020東京五輪では現在、競技会場の整備などに必要な費用が当初予算の数倍にまで膨れ上がり、その問題ばかりが連日報道されている。開催費用は税金で賄われるのだから、適正な整備が望ましいのは当然だ。だが、焦点を当てるべきなのはその点だけなのだろうか?
 本当に議論すべきは、2020東京五輪を開催する意味であり、その後の国家成長ビジョンである。日本は人口減少と少子高齢化の社会に突入しており、従来の日本を支えてきた国内需要が確実に縮小することが見込まれる。我々は東京五輪という世界的なイベントを日本の未来を切り開くための起爆剤にするべきなのである。日本が2020東京五輪を通じて積極的に磨ける価値、飛躍すべき方向性は大きく2つあると私は考える。
① 観光立国への成長
 日本へのインバウンド観光客は2,000万人の大台に乗るとともに、政府は平成32(2020)年にはさらに倍増の4,000万人を目指す目標を掲げている(※1)。2020東京五輪を通じて、宿泊施設の整備はもちろん、訪日外国人をもてなす分野も成長できるはずだ。交通機関や街頭の表示サインを整備するとともに、スマートフォンなどを利用したIT分野での「おもてなし」サービスも開拓の余地が十分にある。オリンピックでは、多言語対応への必要性がかつてないほどに生じるので、通訳ソフトやロボットなど革新的な技術やサービスの登場が期待される。さらに、富裕層をターゲットとした付加価値の高い「スポーツツーリズム市場」を開拓する好機ともなるはずだ。
② グローバル国家への進化
 人口が減少に転じ、今後は今まで以上に海外に市場を求めなければならない日本は、2020東京五輪を真のグローバル国家へ転化するスプリングボードにできるはずだ。世界中から選手や関係者、そして観光客が日本を訪れるオリンピックはまさにグローバル社会の未来像を我々に見せてくれる場でもあるのだ。2020東京五輪を機にグローバル人材育成の環境も整えられる。例えば、グローバル社会で求められる外国語の運用能力と異文化への対応力を養うのに「英語村」を整備するのも効果的だろう。ぜひ、小学生から大学生などの生徒・学生を中心とした層のグローバル化に2020東京五輪を活用するべきである。
 オリンピックは世界的なブランド力のあるスポーツイベントだ。その絶大な価値を最大限に有効利用しながら、その先にある日本の未来を創造する戦略を立て、実行に移す。それこそが、五輪開催を4年後に控えた我々、日本人が取り組むべきことなのである。
出典:
※1 毎日新聞2016年3月31日「訪日観光客 20年に4000万人 政府、目標を倍増」
http://mainichi.jp/articles/20160331/k00/00m/020/119000c

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