「にぎわい空間研究所」は、リアル空間にしかできない新しいビジネス価値の在り方を研究します

「軒先ビジネス/軒先パーキング」(スペースシェアサービス)
総 説
Report_Case15

「軒先ビジネス/軒先パーキング」(スペースシェアサービス)

未知のビジネスを具現化するために
困難を克服した者だけが獲得する“先行者の利益”
〜未開拓領域に挑む“ファーストペンギンの成功法則”〜

2018.05.10facebook

 後に世界を席巻するような革新的なビジネスモデルが誕生する時、その渦中には、自らの発想を具現化できると信じ、湧き上がる情熱で困難へと果敢に挑戦するヒーロー、ヒロインがいる。まさにその行為は、海獣が潜む厳冬の氷海へと危険も顧みずに飛び込み、誰よりも早く獲物を手に入れる “ファーストペンギン”そのものである。

 今、「シェアリング・エコノミー」がモノの消費概念を所有から共有へとドラスティックに変えようとし、世界中でシェアビジネスのサービスが一斉に花開き始めている。最近になって、多くの人々が関心を寄せるようになったシェアビジネスに、国内で、いや世界的に見てもいち早く挑戦したファーストペンギンがいる。軒先(株)代表取締役、西浦明子氏だ。

 平成19(2007)年、輸入雑貨のテスト販売をしたいと考えた西浦氏は、短期間、それも安価で借りられる商店の「軒先」のような手軽な場所を探していた。だが、不動産事業者はそういった物件を扱っておらず、出店を断念するに至る。その後の発想が実に非凡だ。西浦氏は、「自分のようにスキマのような場所で商売をしたい人は他にもいるはず」と考えたのだ。そして、マッチングサイトを使って“スキマ空間”を短期間で貸し借りする、スペースシェアビジネスという前人未到の事業領域への挑戦を決意する。

 前例のないマッチングサイト「軒先ドットコム」(後に「軒先ビジネス」)の立ち上げは困難を極めた。システムを構築してくれる制作会社がいない。予算がどんどん跳ね上がる。苦労の末にサイト開設にこぎつけたものの、物件獲得の壁はもっと厚かった。物件の貸主には金額の規模が小さく、入れ替わりで使われるには抵抗があると門前払いされたのだ。当初の登録物件は10 件にも満たなかった。

 西浦氏は、こうした絶望的な状況にもひるむことなく地道に営業を重ねて、少しずつ物件を増やしていった。現場を歩き続けるなかで、あることに気づいた。使われていなかった場所を貸し出すと、賑わいが生まれ、新しい客層が訪れ、そして場が活性化する。西浦氏はこの集客効果を訴えることで、数多くの大手チェーンとの提携を果たし、2,500 カ所ものロケーション登録の獲得に成功したのだ。

 手探りで構築した軒先ビジネスは、大きなノウハウになった。次なるサービス「軒先パーキング」では、スムーズにマッチングシステムを構築。日本で初めて駐車場シェアのマッチングサービスを実現した。すると、これまでの実績が評価され、地方自治体や大手企業、スポーツチームがこぞって駐車場問題の解決や新たなビジネス創出のために軒先と提携した。

 そして今、軒先は拡大するシェアリング・エコノミーという時代の追い風を受けながら、同社の未来に期待するファンドなどからの資金を獲得しつつ、着実に事業の領域を広げようとしているのだ。

 小空間の短期利用というかつてない市場を切り開いた軒先。その軌跡からは、新たなマーケットを切り開くファーストペンギンに共通する“成功法則”が浮かびあがってくる。

 

①時代の先を見抜く先見性や洞察力、過去の常識に囚われないフレキシブルな発想力

②苦労や障壁(技術、法規、リスクヘッジ、事業参画者の獲得など)の存在と格闘

③困難を乗り越えた時の先行者利益(資金、ブランディング、提携先など)の獲得
 

 本研究レポートでは、シェアビジネスにおける世界的なファーストペンギンである軒先(株)について、その細部にわたり研究していく。

 

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