編著:にぎわい空間研究所編集委員会
平成29(2017)年2月14日、豊洲シビックセンター(東京都江東区)で「にぎわい空間創出FORUM2017」が開催されました。主催はにぎわい空間創出FORUM2017実行委員会(共催:(株)フジヤ、企画・運営:にぎわい空間研究所)。 フォーラムは“Exhibition”と“Conference”の2部構成。シビックセンター5階のホールとホワイエ(ロビー)の全体を使いながら様々な要素を盛り込み、ハードとソフトの両面からリアル空間産業の未来ビジョンを探っていきました。当日の来場者は210名に上りました。
① Exhibition
② Conference
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① Exhibition
「リアル空間を活性化させる新技術プレゼンテーション&ワークショップ」
14時30分からExhibitionがスタート。テーマは、「リアル空間を活性化させる新技術プレゼンテーション&ワークショップ」です。参加企業は(株)キャドセンター、ピーディーシー(株)、(株)シーマ、(株)ピクス、共同エフテック(株)の5社。
ホールでは参加企業によるプレゼンテーションが展開され、各社の商品やサービスの紹介とともに、各分野の最新動向が紹介されました。また、ホワイエでは体験デモンストレーションを実施。来場者にとっては、各社の機器やサービスを実際に体験する機会になりました。
プレゼンテーション01 (株)キャドセンター
プレゼンター:佐々木透氏(プロデュースグループ営業2部主任)
「VR導入によるバーチャルと現実の融合空間の可能性」
最新の映像技術を駆使し、
地中に埋没した遺跡を体感
キャドセンターは3D技術をベースとしたVR、AR、3DCGなどの技術と4Kやドローンなどの撮影技術を応用しながら、分かりやすいコンテンツづくりで数多くの実績があります。登壇した佐々木氏は、「VR導入によるバーチャルと現実の融合空間の可能性」として、同社が手がけた佐賀県の「三重津海軍所跡」のプロジェクトを紹介しました。
同跡地は2015年7月にユネスコ世界遺産登録された「明治日本の産業革命遺産」のひとつです。しかし、遺跡そのものは地中に埋没しているので、この遺跡を見える化するために、3DCG、VR、HMD、ウェブなどの技術を駆使し、来場者が海軍所を体感できるシステムを構築しました。
なお、会場のホワイエでは同プロジェクトで使用したVRの体験デモンストレーションを行いました。
プレゼンテーション02 ピーディーシー(株)
プレゼンター:小澤正俊氏(システムビジネス部事業開発担当部長)
「デジタルサイネージ新時代」
建築の意匠に合わせたサイネージを
コンテンツとともに提案する時代へ
ピーディーシー(株)は、デジタルサイネージの納品・施工から運営・保守管理、そしてコンテンツ制作までワンストップで提供する会社です。2001年の設立以来、15年間で2万件以上の実績があり、商業施設への納品では国内トップシェアを誇ります。
小澤氏はデジタルサイネージ活用の現状と今後の方向性についてプレゼンテーション。まず、①施設での情報表示、②タッチパネルに多言語の情報案内、③ウェブやモバイルとのコンテンツの共有化、④モーションセンサーを使った体験型システム、⑤顔認証を行う自動販売機などリアルタイムで情報収集、マーケティングを行うシステムなどを紹介しました。
また、小澤氏は今後の方向性としてはロサンゼルス国際空港の海外事例などを紹介しながら、「建物の意匠に合わせて軽量・高輝度のLEDディスプレイをコンテンツとともに提案するのが一般的になっていくでしょう」と指摘。
ホワイエでは、「ミラーキオスク」やユーザーを感知してディスプレイの高さを自動調整する「バリアフリーキオスク」などを展示しました。
ロサンゼルス国際空港の映像空間
プレゼンテーション03 (株)シーマ
プレゼンター:大木真也氏
(営業企画本部セールスプランニンググループEAST部長)
「最新映像装置・技術」
映像、音響、照明を連動させた
総合的な空間演出が世界の潮流
(株)シーマは映像と音響を駆使した演出に関して、企画立案から設計、施工、保守管理までを総合的に提供する会社です。今回のフォーラムでは、ステージのLEDビジョンを含む映像や音響の演出にも全面的に協力していただきました。
登壇した大木氏は2月初旬にオランダで開催された音響と映像の国際見本市「Integrated Systems Europe 2017(ISE2017)」における世界的なトレンドについてプレゼンテーションを行いました。
まず、LEDディスプレイについては、現状ではドットピッチ1.2mmが高精細パネルの標準ですが、0.7mmピッチの製品が参考出品されていたことを紹介。また、キューブ型、床で踏めるタイプ、シースルー型などの形状も多様化しています。LEDだけでなく有機ELを光源とするディスプレイも実用化が進んでおり、厚さ3.65mmの壁に貼れるディスプレイを紹介しました。
また、色再現性に優れたレーザー光を光源とする液晶パネルの実用化も進んでいるといいます。大木氏はプロジェクターやLEDディスプレイ、産業用ロボットや昇降装置を組み合わせた空間演出も紹介。大木氏は「世界的には、映像、音響、照明を連動させたトータルな空間演出が最近のトレンドになっている」と締めくくりました。
プレゼンテーション04 (株)ピクス
プレゼンター:弓削淑隆氏(プロデューサー、テクニカルプランナー)
「リアル空間における映像表現の可能性」
空間を映像メデイアとして活用し、
非日常のエンターテイメントを作る
(株)ピクスは、ミュージックビデオ、コンサート演出から3Dプロジェクションマッピング、空間演出などを手がける映像制作会社です。
登壇した弓削氏は、まず「その場所、その地域、その実体ならではの映像表現」について事例を紹介。同社では福島県の鶴ヶ城では復興支援として2013年から5年連続で3Dプロジェクションマッピングを手がけました。NHK大河ドラマ『八重の桜』とコラボレーションしながら、地元の歴史や文化を見つめた映像の内容にすることで、そこでしかできない価値を提供したことを説明しました。
また、「空間という未知の可能性をもったメディアを使った映像の表現」についても言及。新潟県直江津市の国際石油帝石の『INPEX MUSEUM』での事例を紹介しました。同ミュージアムでは、天然ガスを実感してもらうための映像空間を制作。天然ガスが生まれた恐竜の時代まで時空を移動する映像体験によって、より身近に天然ガスを体感できる展示を実現したといいます。
弓削氏は「空間を映像の新しいメディアとして活用することで、かつてない非日常のエンターテイメントを作ることがきる。それがメディアとしての空間の魅力」と締めくくりました。
INPEX MUSEUM
プレゼンテーション05 共同エフテック(株)
短時間で顔写真入カードを作成する
カードシステムサービス“Memories”を紹介
共同エフテック(株)は“Memories”のシステムを紹介。受付を済ませた来場者は、タブレットで顔写真を撮影し、わずか1分後には顔写真入りのIDカードが完成するシステムを体験しました。